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Mouser Blog | Japan

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産業用 ロボットの 未来 Mouser Electronics

 

協働ロボット、センサ技術、高速コンピューティング能力のイノベーションにより、産業用ロボット市場 は技術進歩の波にさらされています。しかし、佳境はこれからです。私たちはまだ歩み始めたばかりな のですから。

さほど遠くない過去、産業用ロボットのほとんどは重機メーカが独占していました。ロボットソリュー ションを導入するには、莫大な設備投資、多くのプログラミング時間と専門研修の時間、そしてロボット を稼働させるための巨大な空間が必要でした。

しかし、近年ある変化が起こっています。

重工業用ロボットはさらに大きな負荷や (文字どおり) 重い作業をこなせるように進化していますが、 それと並行して、より小型のロボットの能力と質も向上しています。協働ロボットを例にとってみましょ う。協働ロボットは重量級ロボットよりも小型かつ単純で、安全柵なしで人間がその横で作業しても安 全なように作られています。また、設置にそれほど多額の費用は必要ありません。従来のロボットには 1 台あたり数十万ドルの費用がかかるのに対し、協働ロボットの費用は数万ドルまで下がっています。

安全柵がないということは、協働ロボットをすでに確立された作業空間に組み込みやすいことも意味 します。設置スペースが狭くてもかまいません。これにより、これまで産業用ロボットやオートメーション ソリューションを利用できなかった市場やコスト的に手が出せなかった中小企業にもこれらの技術を 導入する道が開かれました。

継続的な労働力不足を考えると、タイミングは絶好でした。実際、ロボットおよびオートメーションの普 及率と予想投資額は 2030 年まで大幅に上昇すると見込まれています。

 

小型で単純なロボットは中小企業へのオートメーションの導入 を促進する

 

ロボットの巨大さとその莫大な導入コストは超大企業を除くすべての会社にとって障壁でしたが、 それに加えて、ロボットを製造ラインに組み込むには複雑な技術的能力が必要であるという点も大 きな課題でした。これは協働ロボットの開発とともに変化し始めました。

協働ロボットを運用するためにそれほど複雑なプログラミングは必要ありません。今日の多くの協 働ロボットは、ソフトウェアを介して数日あるいは数時間で製造工程にすばやく組み込むことができ ます。数週間もかかることはありません。立ち上げに要する時間がこれほど短い協働ロボットは、すぐ にチームの正式な一員になります。つまり、小規模な会社がオートメーションを製造に取り入れるこ とが現実的な選択肢になります。

確かに、単純な協働ロボットでできることと、複雑で巨大な自動車用ロボットでできることの間には、 ギャップがあります。しかし、これは実際には、中小企業がロボットを使用し始める入り口として理想 的です。ピックアンドプレースやマシンテンディングのような単純な用途に使用するのであれば、従来 の技術よりもはるかに短期間で導入し、製造工程に組み込むことができます。

実際問題として、中規模の会社にロボット周辺の業務全体を再構築する余裕はありません。そのよう な会社がオートメーションの効率と生産性の向上を現実のものにするには、既存の環境に適合し、 ボタンを押すだけでプログラムされた作業を実行してくれるロボットが必要です。協働ロボットはま さにそれを行います。広いスペースを占有せずに必要な場所に収まり、コストのかかる特別な受け入 れ準備も必要ありません。

ほんの数年前まで、中規模の会社がロボットの導入を検討できるようになるとは考えられていません でした。今では、協働ロボットの設置台数はこの 3 年間に 63% 増加し、その大半が中小企業による ものです。

 

産業用ロボットの利用の拡大はセクターを超えた市場のゲーム チェン ジャーになる

 

稼働中のロボットのシェアは依然として自動車業界が首位を占めますが、より小型・低コストでプログ ラミングや設置が格段に容易なロボット/協働ロボットが入手しやすくなったことで、これまでロボット やオートメーションを限定的に使用していた、またはまったく使用していなかった業界にもこれらの市 場が開かれました。

ロボットを導入するハードルが下がるにつれて、企業の製造投資コストも下がります。これは特に、3D プリンティングの驚くべき能力を考えると腑に落ちます。企業はもはや、将来の生産活動を見据えて数 百万ドルの設備投資を行う必要はありません。非常に少人数の会社でさえ、すぐ隣に製造施設を設け ることができます。協働ロボットは、ハードウェアについてアイデアを持つすべての人に独自の製造会 社を立ち上げるチャンスを与えます。

これは、製造スペースだけでなく地政学的にも意味を持ちます。ロボットをより手軽に入手できれば、 会社のソリューションを設計するその場所で (あるいはエンド カスタマーのオンサイトで) さほどコス トをかけずに製造することができます。コスト節約のためにオフショアリングを検討する必要はありま せん。さらに、このようなロボットのイノベーションは、歴史的に国外の労働力に依存してきた国々の国 内市場にビジネスの可能性を開きます。将来的に、そのような国の中小企業は、協働ロボットと数台の 3D プリンタを組み合わせて 1 時間足らずで生産ラインを構築し、ビジネスを開始できる可能性があり ます。世界中いたるところで、新たな製造ビジネスに参入する障壁は下がるでしょう。

 

未来のキーワード: 柔軟性と適応性

 

入手しやすさの向上は、近年多くの技術トレンドで繰り返し見られるテーマですが、柔軟で適応性のあるソ リューションに対する需要もそうです。そのニーズを推進している要因は、スマート製造への移行です。

未来の工場は、施設内を蛇行するコンベア ベルトが決められた誘導路に従って商品を運ぶという私たち が見慣れたものではなくなり、モジュール式になります。つまり、文字どおり線状の生産「ライン」が年中無 休で数千もの同一の製品を吐き出すのではなく、未来の工場では専用のステーションまたは生産セルでカ スタマイズ可能な少量バッチのオーダーを製造するようになります。

かつては、製造業者が一貫した製品を 20 年間量産できるオートメーション ソリューションやロボットを求 めるのは珍しいことではありませんでした。それは、あるロボットが組み立てラインで明けても暮れても同 じ作業を続けるというイメージです。今では、協働ロボットを導入し、数時間のプログラミングである作業 ( ピックアンドプレースなど) を行うよう指示してから、作業内容を別のもの (マシン テンディングなど) にす ばやく切り替えることができます。未来の工場では、ロボットは同じ作業を続けるのではなく、その日に割り 当てられた作業に適応する必要があります。製造業は総じて、これまで不可能であったレベルのカスタマイ ズに目を向けるようになっており、これはロボット応用の改善とデータの接続・統合によって牽引されます。

このような進化は、他のテクノロジー主導の業界 (特にパーソナル コンピューティング) が経験した変遷 に一致します。パーソナル コンピューティングでは、イノベーションの中心がハードウェアの進歩からソフト ウェアによって実現される新たな可能性へと移行しました。

実際、過去 5 ~ 10 年の間に、ロボットメーカの焦点は、卓越したハードウェアによって差別化を図ること からソフトウェアのイノベーションを強調することに移り変わりました (ただしそれでも、人々が軽視しがち ではありますが、ロボット システムの内部には連携して動作する非常に高度なハードウェア群が存在して いることをここで指摘しておきます)。計算能力と速度が増加し続ける中、今後ロボット工学のより多くのト レンドが、単一のプログラムではなく基盤となるソフトウェア アーキテクチャによって推進されるようになる でしょう。

 

コネクティビティオーケストレーションの台頭

 

ロボット ネットワークのアーキテクチャも重要です。工場のモジュール化が進み、計算能力の向上によ って顧客がより良質なインテリジェンスを獲得できるようになると、エッジ センサからクラウドまでのあ らゆるコンポーネントをシームレスに相互接続する必要が生じます。これは Industry 4.0 の中心的な 教義であり、その実現のためにはデータと電力を高速かつ確実にシステム全体に伝送する必要があり ます。これはまた、タッチポイント間の精密にオーケストレートされた通信を使用してコネクティビティ ソリューションを (個別の独立したコンポーネントとしてではなく) プラットフォームとして設計すること も意味します。この「コネクティビティのオーケストレーション」が、大規模なオートメーション OEM の 間に生まれつつある新たなトレンドです。

これらのメーカは、ビジネスの成功に必要なインサイトを得るために、工場にあるすべてのセンサから のデータを集めてクラウドで統合しようとしています。これらのインサイトを活用すれば、ロボットが状 況に応じてリアルタイムに反応するようになり、よりレスポンシブな生産が可能となります。

たとえば、あるワークピースに連続的なタッチポイント (研磨や溶接など) があり、そのワークピース がどのように加工されるかによって最終製品の品質が決まるような製造アプリケーションを考えてみ てください。このような場合は、リアルタイムのデータがきわめて重要です。リアルタイムのデータが得 られれば、ロボットがそのデータに反応し、製造を最適化しながらワークピースを傷つけないような やり方でプロセスに適応することができます。

産業用ロボット: 顧客の期待

世の中には 1 つとして同じ会社はありませ んが、ロボットソリューションの導入に関し て顧客が直面する課題には共通するものが いくつかあります。その上位の内訳は次のと おりです。

産業用ロボット全般に対する顧客のニーズ:

カスタマイズ、信頼性、品質、長期的な設計 支援、在庫状況。

協働ロボットに対する顧客のニーズ:

顧客の既存システム/プロセスとの容易な 統合、高度な機能、競争力のある価格。

自律移動ロボットに対する顧客のニーズ:

統合しやすく実装コストが低いナビゲーショ ン システム、安全システムやガイダンス シス テムの統合、充電ソリューション、インタフェ ースと能力。

孤立した島から相互接続した島へ

産業環境に存在するすべてのコンポーネントを島と考えてみてください。ロボットの内部には、たとえば基部、アーム ジョイント、グリッパにセンサがあり、さらに生産ライン沿いや制御ユニットの内部などにもセンサがあります。しかし、 機械学習を利用するためには、これらすべての島が互いに通信する必要があります。データをシームレスに収集して分 析し、その結果に基づいて島の内部のプロセスや複数の島にまたがるプロセスを最適化するには、すべての島が接続 していなければなりません。デバイス間のスムーズな相互接続は、リアルタイム通信や人工知能のイノベーションとい うトレンドにとってきわめて重要です。

 

プログラミングから機械学習への進化

 

リアルタイム通信に必要とされる大量のデータは、ロボット工学のもう 1 つのトレンド、すなわち機械 学習の成長にとっても重要です。

完全に自動化された自律的生産がメーカにとっての効率の最高到達点だとすると、機械学習は、その 目標を達成するために必要な重要な初期ステップです。機械学習は、ある特定の作業を行うようにロ ボットをプログラムするのではなく、複数の技術 (センサ、ソフトウェア、データ分析など) を組み合わせ てロボットの教材となる情報を提供することで、ロボットに特定の作業のやり方を「教育」します。反復 を通してロボットは「スキル」を身につけ、環境で何かを見た、または感じたときに何をするかを「学習」 します。1:1 の反応をプログラムするのではありません。時間が経つにつれて、ロボットは与えられた課 題をより自律的に解決できるようになります。そのためには、ロボットが工場である状況や課題に直面 したときにどうすべきかを「知る」ために、ロボット内外のすべての接続ポイント間のオーケストレーショ ンを緻密に行う必要があります。

短期間で、ロボットは一種の半自動操業にまで進歩しました。しかし、少なくとも大企業にとって、完 全に自律的な操業レベルが可能になるまでにはまだ長い時間がかかります。その理由は、大規模な OEM (自動車工場など) が専用の組み立てラインから脱却してモジュール化されたソリューションに 移行するには生産のほぼすべての側面を変更する必要があり、そのうえで、すべての点をつないで機械 学習や自律的ソリューションの動力となる情報を引き出す必要があるからです。

ただし、中小企業は大企業よりも迅速にこの技術を取り入れることができます。規模の小さい会社は すばやく進路を変える、あるいはこの新しいアプローチに最初から全力で取り組むことが可能です。小 規模な生産環境では、下流工程と上流工程との接続をさほど気にせずに、単純なタスクをよりモジュ ール的な形で組織的に結び付けることができます。実際、今後誕生するロボット工学の最大のイノベ ーションは、大規模な OEM ではなく中小企業から生まれる可能性があります。これは単に、小さい会 社の方が自律ソリューションや人工知能を速やかに受け入れられるためです。

協働ロボット: 工場から一般家庭への進出

自宅のデスクに協働ロボットや何らかのヘルパーを置くことについて考えてみるのは、それほど現 実離れしたことではありません。これは小型化のトレンドの一環であり、適応性にも関係しています。 もしかしたら、いつの日か、誰もが標準的なソフトウェアを搭載したある種のロボットや協働ロボットを 持ち、たとえば皿洗いをするよう協働ロボットをプログラムするアプリをダウンロードするだけで済む ような時代が来るかもしれません。その可能性は無限大です。TE では現在、特にインダストリアル部 門において、産業用ロボットに注目しています。しかし、このテーマをもっと広くとらえ、その柔軟性やあ る程度の知性を持った電気機械的ヘルパーを持つ可能性について考えたとき、私はワクワクする気持 ちを抑えられません。

 

製造の未来には信頼性の高い高速な接続が不可欠

 

ロボットの未来と業界の未来はリンクしています。一方の発展は他方にとって深い意味合いを持ちま す。業界そのものに目を向けずに産業用ロボットの未来を語ることはできません。産業用ロボットはこ れまで驚異的な進歩を遂げてきましたが、製造や生産の変わりゆく状況を考えると、さらなる成長や イノベーションの可能性はまだまだ大きいと思われます。

ロボットの未来を形作るすべてのトレンド (手頃な価格、入手しやすさ、柔軟性、適応性、小型化、組み 込みの容易さ、高速データ伝送、リアルタイム通信など) を通して、それらすべてを可能にする鍵とな る要素は「接続」です。シームレスで信頼性と耐久性の高い相互接続は、未来の工場を設計するメーカ にとって欠かせません。

 

 

 

 



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